12/15(土) 勉強会・複雑性PTSDのトラウマ治療最前線

こんにちは。しきです。
9月にみく先生がリベレスタ&ナギズムでの無期限休業をしてから、はや2ヶ月以上が経ちました。夏から秋に季節は移り変わり、そろそろ冬になる11月半ば、ナギズムに帰ってくることになりました。

生きづらさを抱える当事者、原口実紅として

ただ、関わり方は以前とは変わります。
「心理カウンセラーのみく先生」ではなく、主に一人の複雑性PTSD※ 当事者・原口実紅として、自身が日々発見したこと、大変なこと、役に立ったこと、習得した事など、現在進行形でみなさんとシェアをさせていただけたらと思っています。なお、心理カウンセラーとしては今後も無期限で休業をさせていただく予定です。

※複雑性PTSDとは:不適切な養育をはじめとする子供時代の逆境体験を長い間体験して大人になった人たちが、精神的肉体的苦痛に悩まされ、人生の目的意識や自己実現などに大きな障壁を持つようになる障害のこと。

実紅は、今までにも自分自身の治療に対して時間もお金もかけてきて、多くの部分を克服したと思っていました。しかし、自身を観察していると、子ども時代の心の傷はもっと複雑でかなり奥深いところにまで及んでいることを認めざるを得ない状況でした。自分が甘かったのだと認識し、ごまかさず、強がらずに今の自分の辛い状況をいったん棚卸しして受け入れようとする試みを始めました。
その結果、以前自分であれば簡単にできていたことも負担に感じるような、一見悪化したような状態になりました。しかし、この「傷をごまかすことをやめる」ことこそが、ずっとやりたかったのかもしれない。ずっと、きちんと傷に向き合うことがしたかった、と感じています。

どこにもまだ「確実に治る方法」はありません。そもそも疾患概念も、人により提唱している内容は様々に異なっています。実紅は、世界中の研究者・治療者による最新の知見と、自分自身の体や心の症状や、今まで接したクライエントのみなさんの症状を照らし合わせながら、複雑性PTSDと呼ばれている障害の全体図を整理しています。
(※このような実験的な取り組みは他の方へ推奨するものではありません。)
今もそのような生活をしていますが、無理のない範囲内で活動を再開することになりました。

ナギズムではあまり触れてきませんでしたが、私は実紅と生活を共にしています。隣で、トラウマと様々な形で奮闘する様子を見ていて、一筋縄ではいかないことを改めて感じています。また、私の自分自身の複雑性PTSD(主に愛着障害)についてや、複雑性PTSDに向き合う人と暮らす家族の視点からも、さらに自分自身の勉強や研究が必要だと感じるようになりました。原因不明の生きづらさを抱えながら生きる一人として、みなさんともっと一緒に、支えあって生きていきたいと思っています。

 

包括的なトラウマケアを目指します

これから、心理カウンセリングオフィス リベレスタは引き続き運営しながら、トラウマケアセンター caret(キャレット)として、トラウマ治療の最新の情報発信やワークショップ等を運営していきます。caretでは、当事者、家族や友人等当事者の周りの方、援助職の方、研究職の方、支援者の方、行政など、様々な方とつながりながら、輪を広げる活動をしていきたいと思っています。まずは現在生きづらさを感じる当事者の方へ必要な情報発信や場の提供を、将来的には、少しでも複雑性PTSDの発症が予防されるように、また、発症しても治療の場が確立されている状態を目指したいです。

トラウマの問題は、当事者の心だけの問題ではなく、当事者の体(脳神経系を含む)、当事者の環境、社会や周囲の人、そして地域や文化の影響も大きく受ける、社会問題です。至らぬ部分も多く、スピードはあまり出せないかもしれませんが、できる範囲内での活動を進めていきたく思っております。皆様、いつも応援ありがとうございます。今後も、ご参加・ご協力、応援いただけたらとても嬉しいです。改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

・トラウマケアセンター caret
http://caret.strikingly.com/

個人だけではない、社会の問題として

先日、ひょんなご縁から、参議院議員・元厚生労働省副大臣の木村よしおさんとの対談取材を受けました。

困っている人たちの小さな声に耳を傾け「心の中に火を灯す素(もと)」を国政に届ける「ともすもと」。Youtube動画と文字起こしによる文章記事で取材いただきました。全3回のうち、第1回で、複雑性PTSDについての概要説明をさせていただき、その後も社会問題としての複雑性PTSDにどう取り組んでいくか議論が続きました。貴重な機会をありがとうございました。当事者やその周辺だけの問題に止めず、社会的に取り組んでいく可能性が垣間見えた時間でした。今後も、対社会へも、複雑性PTSDの問題について発信していきたいと思います。

第1回 生きづらさと向き合うトラウマ治療
第2回「気づかない」を「気づく」に変える環境づくり
第3回 モデル事業の立ち上げと情報の一元化

 

勉強会・複雑性PTSDのトラウマ治療最前線
〜当事者と治療者の視点から〜

caret企画 第一弾として、勉強会を開催致します。
今後、当事者のみの会、支援者のみの会も企画できたらと考えておりますが、まずは12/15(土)にご関心のある方で集まれたら幸いです。勉強会と言うと硬いイメージですが、お茶会くらいの感覚でお越しいただけたら嬉しいです。講師も参加者の方も、リラックスしてお話できる、あるいは話さなくても、来てみてよかったな。と思える会にできればと思っております。
1点、留意事項のお願いです。実紅は基本的に参加予定ですが、万一体調が整わなかった場合は欠席とさせていただきますことを、あらかじめご了承ください。

日時:12/15(土)一部(勉強会)13:00-15:00 13:20-15:20 (交流会)二部15:30-16:30 15:30-16:10
場所:横浜エリアのレンタルスペース(調整中)
講師:原口実紅・原口色
※原口実紅は体調次第での参加となります。
対象者:原因不明の生きづらさを感じている方、援助職の方、当事者のご友人ご家族等
費用:
一部 10,000円(事前振り込み)
二部 3,000円 1,500円(事前振り込みor当日支払いもOK)
※キャンセルポリシー:キャンセルは12/12(水)まで無料、12/13(木)は参加費の50%、前日・当日は参加費の100%のお支払いをお願いいたします。

定員:20名(先着順)
主催:トラウマケアセンター caret
お申し込み:こちらのフォームからお願いします

内容:以下の内容をベースに、会場からご質問や話題などをいただきながら進めていきます。

 

複雑性PTSDの想像以上の奥行きと広がりについて

まず第一にお伝えしたいのは、単回性PTSD(いわゆるPTSD。心的外傷後ストレス障害)と複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)は全く異なる疾患概念であるということです。

特に子ども時代のトラウマの場合は、PTSD症状に加えて、愛着障害の問題、発達障害の問題、解離性障害の問題が、人によって割合は違いますが、必ずつきまといます。つまりPTSDに対するだけの治療をしていても、複雑性PTSDの場合は回復に行き詰まるということを表しています。

特に、解離症状がある方は、一見普通なので(解離という現象は「普通の人」として生きるための防衛機制です)、面談室でお話を伺っている際には適応できているように見えてしまいます。しかし、そのような「普通に見える人」ほど、実態はかなり複雑で深刻です。

大事なのは、治療者がその目線を持っていることです。セラピストとしての私(原口実紅)は、今まで複雑性PTSDという疾患概念の理解ができていませんでした。自分自身の問題を通じてその課題に気づきました。これは、人類の歴史の中でもまだ新しい疾患概念です。私がセラピストとして感じていた治療の行き詰まりや、クライエントのドロップアウト(治療の負担過多等による不本意な治療の中断)などの問題は、複雑性PTSDの内容を知れば知るほど納得できるものでした。

そして私自身がどこかで感じていた、「治りきっていないのでは」という予感は間違っていなかった事が分かりました。複雑性PTSDの治療は一筋縄ではいきません。絡み合った要素を丁寧に取り扱うことができるセラピストでなければ困難であり、今のところ日本でそのようなセラピストを発見するのは難しい状況と思われます。その場合は、クライエント自身が、自分で知識をつけて自分を適切にトリートメントできることが重要と考えます。

治療をするにしても、しっかり順序立てて行う事が重要です。辛い症状を少しでも早く解決したいという焦りは禁物で、一つ一つ、着実に確認しながら、進めていく必要があります。

一番大事なのは、当事者本人が、自分が取り組もうとしていること(トラウマに対峙すること)がとても大きなこと、今起こっていることがけして単純ではないことを自覚することです。どれだけここに時間を使ってもいいくらい、とても重要です。どんなアプローチ(療法)を使うのでも、ここがトラウマ治療の大前提です。




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心理カウンセリング

ABOUTこの記事をかいた人

しき

心理カウンセリングオフィスリベレスタ事務局&ナギズムライター。カルチャー系「無意識ワームホール」グルメ系「ハッピーブルーラインライフ」思春期の亡霊。石や貝がらなど自然のものが大好き。愛称はしきたん。Twitter: @nagism_